無題

幸せなんてどこにもないような街で、かなしくなる必要もないのにかなしくなるのは、この街がごった返しているからだ。

ないものなんてないくらい、この街は世界の構成要素で溢れていて、ないものが却ってあっさり目につくほどの、この街は鬱陶しい。

幸せなんてどこにもないのだとしても、空と山しかないあの町で見つけられない方がよっぽど苦しくない。