星座のリングが欲しかった。

あのとき、わたしは無性に星空に惹かれていた。

星座というモチーフが、わたしの代名詞になるようにしたくて。

あのとき、わたしは穏やかなこころを渇望していた。

左手の薬指のために、リングを探すほど。

星座のリングが欲しかった。

 

 自分が死んだら、星になって空から贈るね。

 

そう言った人のことをわたしはずっと、わたしの中のやわらかな、特別な領域に住まわせておくのだろう。

搔き消すものが、これから先愛す人なのか、日々の多忙なのか何なのか、どれであってもおかしくないほどに、埋もれていくことは最早摂理としてあるようなものだけれど。

わたしの細胞が共鳴する確かな感覚を、わたしはきっと、得難い経験をしたものとして、背伸びしたお道具箱に紛れ込ませておく。

あなたの歌声が、いつか地平線を揺らすまで響きますように。

たとえ新宿の人混み(いや、人ゴミという表記が適切だ、)ですれ違ったってきっと分かる。

そのときわたしたちは、きっと別人みたいにすれ違う。

きみが、寝かせたケーキの生地みたいに、思い出に馴染んでわたしの味になってく。

かつて、わたしの地球儀で唯一の戸籍の持ち主だったあなたへ。

きみが生きられる世界でありますように。

星座のリングは、買わなかったけれど、今では探すこともなくなってしまったけれど、わたしはわたしの地球儀を回すための腕が、まだ胴体にくっついてる。

 

 

わたしの永遠の歌姫へ