色がついて、風

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好きだという言葉が憎くて

届かないのを知っていて

届けちゃいけないことも、届けられないことも知っていて

この気持ちがひっくり返って君に後ろ足で砂をかけることのないように

そんなことはできないと、分かっているのに

 

出会ったところからやり直そうか?

出会う前に巻き戻そうか?

そんな話で片付けられない、だってこれは愛じゃない

 

君が生きてればそれでいい

でも生きているところを見せないで

どうか、どうか

生きていることも忘れられるくらい遠くになって

 

君から離れてくれればいいのに

そうしたら全部上手くいくのに

濾過した思い出だけ掬い取って、君を額縁に収め込めるのに

 

きみが幸せならいいのに、僕のおかげで幸せならいいのに

そんなことを考えている僕が全部きみにバレちゃえばいいのに

きみは軽蔑するといいのに

僕から離れていってくれたらいいのに

君といられない僕を僕が恨むように仕向ける君を心から恨みたくなればいいのに

 

些細なきみの一瞬を覚えている僕を君が笑えばいいのに

僕はそれを愛しく聞ければいいのに

終止符の忘れ去られた時間が曖昧に紅茶にとける砂糖であればいいのに

いつまでも溶け続ける必要なんてないから

そのための魔法の呪文なんていらないから

 

 

 

好きだという言葉が憎くて

きみを表せる言葉を探したんだ

名前を付けなければ許される気がしたんだ

世界中の辞書をひっくり返したんだ

捨て忘れた涙の掃き溜めにも

君と会った日のレシートにも

探したんだくまなく

きみを表せる言葉を

きみを傷つけない言葉を 僕が自害しない言葉を

 

ただきみに住んでほしくて ぼくのなかに住んで欲しくて

ただきみを見たくなくて きみの吸う酸素に触れてしまいたくなくて

 

 

アメが降ります

視界を遮ります

これで良かったことにしたく思います

声帯を笛にして歌います

君の声を思い起こさせる音色です

それはさよならにしないようにするきみへの信号です

 

 

 

 

ぼくは白旗をかざして白い砂浜に身を沈めます

それは、海です、ぼくは船になるのです

ぼくは、たゆたうのです

それが望みであろうとなかろうと

 

ああ、日が照ってきた

いいきもちだ。

 

 

 

 

https://m.youtube.com/watch?v=YapsFDcGe_s